もしあなたが健康診断を受けたときレントゲン写真を見た医者から「ここに影がある。ガンかもしれない」と言われたらどんな気持ちになるでしょうか。
もしあなたが流行のウイルスに感染した疑いがあったとします。「このウイルスに感染した3ヶ月以内の致死率は直近で93.4%というデータがある」という事実を見たとき、どんな感情をもつでしょうか。
本記事では恐怖という感情を用いた広告・セールスコピーで消費者を動かすコピーライティング術について説明しています。
恐怖に効果的に訴えかける必須のコピー構成
- 暗示する(どんな恐怖がおとずれるのか)
- 恐怖をさそう(具体的な表現をつかう)
- 恐怖を取り除ける解決策の提案(商品・サービス)
- 解決策を使うことのベネフィットの提示(どうなるのか)
- クロージング(CTA)
上記の基本構成が成り立っていない限り反応は取れないでしょう。
ひとつ大事なことは、迫りくる恐怖をあなたの提案する解決策で取り除くことができると見込み客に確信してもらうことです。
さらには恐怖を訴えかける内容にも信頼できる根拠があることも大切な要素になってきます。恐怖や不安にかられると人は避けるために何かをしようとします。
理由は、恐怖・痛み・危険から避けたいと思うのは人間の根源的欲求の1つだからです。注意してもらいたいのは、恐怖を植え付けるのではなくて、利用することです。
もしも医者から「あなたは末期のガンです」と言われたら、ガンへの恐怖を覚えるのではないでしょうか。
普段の生活ができなくなる、病院に入院する必要がある、家族に迷惑がかかるといった不安がうまれストレスとなります。仮にこのまま治療もせずにいたら、動けなくなる、いや死ぬかもしれないといった考えが頭の中でちらつくのです。
医者をセールスマン、あなたがお客であれば、これでセールスが完了しますよね。セールスコピーも同じ構成です。
「利用するってなんかひどくない?」と言われそうですが悪用するわけではないことを理解しておきましょう。
もし、就寝中の火事であなたの持ち家が焼失したら?あなたの長女・長男が死亡したら?あなたの配偶者が半身不随になってしまったら?これらのリスクを回避・軽減する解決策として火災保険や火災報知器が存在します。
火災報知器をセールスされ断った1週間後に家が火事になったら?きっと後悔すると思います。どうしてあのとき買わなかったんだろうと。買っていればこんなことにはならなかったんじゃないかと。
でも、普段の生活の中で家が火事になるなんて誰かに言われないとイメージできないですよね。イメージさせて自分ごとにしないと本当の意味で考えることはないと想像できるんじゃないかと思います。
じゃあ、見込み客に真剣に考えてもらうためにはどうしたらよいでしょうか?恐怖を利用して見込み客の頭の中で具体的にイメージしてもらう必要があります。
恐怖を利用するとは、このような解釈であれば納得してもらえるのではいかなと思います。
広告が邪悪になるのは、邪悪なものを広告しているときだけだ。
デイヴィッド・オグルヴィ
効果的に恐怖をアピールする4つのタイミング
- 人が徹底的に恐怖におびえているとき
- 恐怖から思い浮かぶ脅威に立ち向かうには具体的にどうすればいいのか、オススメの案が提示されているとき
- オススメの案が脅威を減らすのに効果的だと認められたとき
- 読み手がオススメの案を実行できると信じたとき
これらの4つすべてがそろうかどうかがセールスコピーの成否を決めると言われています。恐怖だけをうったえたとき、見込み客は広告に対して反応しなくなる可能性が高くなります。
それはなぜでしょうか。恐怖があたえる影響とは何か考えてみましょう。
- ストレス
- 不利益の暗示
恐怖を感じると人は強いストレスを感じます。さらに恐怖を感じる物事が何か自分にとって不利益なことをもたらすのではないかと想像するのです。
恐怖だけをうったえられたとき、強いストレスによりそれを避けようとします。そのため、あおりが激しい広告は避けられるのです。
CTAをうながすテクニック
- 締め切り
- 希少性
締め切りとは、いつまでに行動してくださいというもの。希少性とは、今回限りのオファーですというのもの。
例えば以下のようなCTA(コールトゥアクション)が有効です。
- 期間限定
- 本日のみのセールス
- 在庫限り
痛みを軽減する解決策が手に入ると理解した見込み客に対して、「いま動かなかったら解決策を手に入れる貴重な機会を失ってしまう」という感情を抱かせるためです。
この解決策を失うわけにはいかないと思わせるためには、この解決策が迫る脅威を軽減するものだということを見込み客が信じていないといけません。
CTAが有効に働くのは解決できる商品であることが大前提です。
- これがないとどうしていいのか分からない
- これこそいまの自分が必要な解決策だ
ただし価値ある商品を提供できない限り、このCTAはただのあおりにしか思われないのでご注意くださいね。
まとめ
恐怖をあおる広告が消費者心理を動かすコピーライティング術について説明をしました。
基本中の基本として押さえておきたいのは以下のことです。
これがなければ恐怖をあおってもただのあおりにしかなりません。嫌われ避けられ結果もでないセールスコピーになってしまいます。
売りたいだけのコピーは相手にも伝わります。相手に価値を提供できる商品を提案するために恐怖という感情を利用してセールスをするからこそ見込み客は適切に反応するのです。
PS.
本記事は2020年4月23日に執筆
現在、コロナウイルスが世界中に広がり、日本も非常事態宣言が出されています。
マスクの品薄から始まり、お米、消毒液、トイレットペーパーなどの買い占めがところどころで見られています。
コロナウイルスという未知の存在が恐怖となって、マスクがなくならないうちに、トイレットペーパーがなくならないうちにといった自分や家族を守るための行動が買い占めという行動スイッチを押しています。
- コロナウイルス=恐怖
- ウイルス感染=脅威
- 買い占め=解決策
- 明日には商品がなくなる(のではないか)=CTA
という構図が見えてきますよね。人は恐怖に駆り立てられると行動します。お金を払って解決できるならそうしようとします。
だからこそ、恐怖という感情は悪用してはいけないことは強く主張したいと思います。あおれば売れる、はありえません。
これだけは誤解しないでほしいと思い、追記します。